あとがき

ジェームズ・ボンドが活躍するスパイ映画、007シリーズを皆さんご存知のことと思います。

この映画では、イギリス情報部の諜報員であるジェームズ・ボンドが様々な悪の化身のような連中と戦うのですが、それぞれの悪役キャラが、それぞれに世界の理想像を提示して世界征服を企む反面、ボンド自身は不思議なことに理想の世界像を全く提示しません。

彼は次々に現れる悪役を一つ一つ丁寧に潰していくことに終始します。

医学統合研究会のHPでの発表内容も、結局はそのような役回りを演じたような印象を与えたかもしれません。

健康を扱う様々な情報の一つ一つを吟味し、その問題点を考え、それらはどのような場合に有効で、どのような場合に害となるか…ナドを追求してみたつもりです。

中には、一方的に持ち上げたものも無いではありませんが、必ずしもそれが最良であり、他のものが全て駄目であるというつもりは毛頭ありません。

ここで提示した意見は、あくまで当研究会が「現時点」で最高と考える情報に過ぎず、今後も様々な形での探求が必要であることは十分に承知しておりますし、「これさえ実践すればモーマンタイ!」という理論を「絶対の真理」として崇める事の危険性はこのサイトでも何度もお話してきました。

代替医療の大家、アンドルー・ワイル博士の言葉を借りれば「最良の理論もいずれはよりよい理論に席を譲るべき真理の近似値にすぎない」訳で、読者の皆さんは、このサイトの情報を決して無批判に鵜呑みにはせず、ご自身の探求の参考として、ご活用いただければと思います。

また、多くの代替療法の専門家は、現代医学を無価値で有害なものとして罵倒されていますが、私たちは現代医学の素晴らしい成果をいささかも否定するものではありません。

明治期に輸入された西洋医学の席巻が、私達の先祖が培ってきた古伝医学の伝統を滅茶苦茶に破壊してしまったのは大いなる損失でしたが、それらが瞬く間に影響力を持ったのは伝統医学よりも何らかの優れた点を持っていたことに起因するのは間違いないのです。

しかし、時を経て西洋医学の問題点が明るみに出るにつれ、一度は捨て去られた伝統医学の復権が叫ばれるようになったのもまた、それらが西洋医学の問題点を解決し得るものを秘めているからでしょう。

医学が私達の病気を癒し、健康生活を助けるためには、お互いの長所を生かしあうことが大切であるはずですが、まだまだ現代医学と伝統医学がお互いを罵り合っているのが現実のようです。

このサイトでは、可能な限り、その橋渡しに貢献できればと思いましたが、私たちの力不足ゆえ、どれほどその目的を果たしえたかはわかりません。

ただ、このサイトをお読み下さった読者の方々は、双方の医学の統合の必要性を感じていただけたのではないかと思います。

東西両医学が、新古両医術が、現代医学と民間療法が、そしてなによりも人と人、人と自然が共存していける世界…このような世界の実現を夢見ることは、現実主義者には夢想家の白昼夢に過ぎないと一笑されるかもしれません。

しかし、現実主義者がこの世界を改善する明確な理論も手法も持ち合わせていない以上、夢想家は白昼夢を追い続けて、出来うる限り可能性を追求しなければならないと思っています。

人々が安心して暮らせる社会の実現を目指して

医学統合研究会 主催 濱口昭宏(2007/06/03)

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