ガンは治るか

外科手術を初めとする現代医療の進歩には目を見張るものがありますが、下品な健康食品のバイブル本の表題の多くに、「末期ガンから奇蹟の生還!」だの「〜でガンが治った!」だのと、癌絡みのフレーズが躍っているのは、結局は人々の意識の中で、まだ癌は圧倒的に“不治の病”という認識があるからでしょう。

薬事法違反での検挙も、その多くが癌に対する効果効能を謳った事によるようで、先日も悪質な水ビジネスの潜入取材の様子がテレビで放映されていましたが、やはり「ガンがみるみる治る」と、見るからに詐欺師丸出しの男が口走っていました。

さて、今回は健康食品に限らず、現代医学以外の方法で癌を治す事が出来るかどうかを考えてみたいと思います。

まず、稀に存在する“遺伝性の癌”は、どんな方法でも治す事は出来ないと思われます。

この手の癌は全体としては極めて少ないものですが、外科手術で初期の段階で切除しても、瞬く間に再発し、最終的には全身転移し、死に至ります。

普通の癌で初期の段階であれば、民間療法的なものが功を奏する場合も少なくありません。

ただし、ここで問題になるのが病状の診断です。

西洋医の行う診断は、血液検査にしろ、MRIのようなものにしろ、ある程度客観的な診断を下す事が出来ますが、民間療法においては病状を正確に把握する方法に不備があります。

漢方には、望診(見た目から診断する方法です)や脉診、腹診などがありますが、職人芸的な手法ですし、診断の難易度は、機械に頼る現代医の手法よりも高いと言えるでしょう。

また、漢方や鍼灸のように長い歴史の中で体系化されているものは別として、民間療法の多くはまともな大系を有していない場合がほとんどですので、その点は注意する必要があります。

診断に関しては、現代的手法を併用して病状を判断するべきでしょう。

ただ、現代医学の方法で検査して癌と判明した場合、ただちに入院手術の手続きがとられて逃げられなくなることが多く、家族も普通のやり方での治療を望むことがほとんどですので、当の本人に治療の選択肢がなくなってしまうことも多いでしょう。

少し、脱線してしまいましたが、初期の癌でしたら手術や抗がん剤に頼らなくても、非侵襲的方法で完治させられる場合もあります。

私の尊敬する漢方薬局の先生は、WTTC(癌用の漢方薬。製薬会社が医薬品として製造しているまともなものです)の変方を用いて治療されていますが、完全に癌化して固まってしまったものは兎も角、初期のものには完治した例が少なからずあるということでした。

癌は基本的に、自分の細胞が異常化して増殖するものですから、自分の体の根本的な問題を改善することで、初期段階のものなら、対応できる場合が少なくないようです。

この場合、特に重要なのが食養で、やはり食事の問題が一番大きく関わってきます。千島学説では腸造血説との絡みで癌も論じられますが、やはり腸の問題と考えると食事が大切であるということになります。

また、「癌は皮膚病である」という考え方もあります。

腸内も体表の皮膚と同じく上皮細胞から出来ており、現代の皮膚病の多くが栄養上の問題で生じる排毒反応であると考えれば、癌もそれに近い考え方が出来るかもしれません。

生活習慣を根本的に改善することは外科手術に頼って処理する場合でも大事なことで、以前記述しましたが、手術によって癌が治ったとしても、それは“治った”のではなく、切除によって一時的に病変部が無くなったに過ぎず、癌を作り出した体の問題そのものは存在している以上、再発の危険は常に付きまといます。

食事を中心に生活習慣を改める事は、癌だけでなくどんな病気と向き合うにも基本と考えるべき最重要事項と言えましょう。

では、その治癒が“奇蹟的”と考えられている末期ガンの場合は、どうでしょうか?

これはやはり、初期ガンと比べると比較にならない難易度であると言えます。

まず、癌が大きくなり、他の臓器へ転移が見られるなら、自ら元に戻ろうとする体の力が完全に失われており、癌に支配されている状態ですから、単に生活習慣を改めた位ではどうにもなりません。

ここに健康食品の悪質な商法が忍び寄ってくる下地がある訳です。

結論から言って、健康食品に限らず、癌に有効な方法は「沢山」在ります。

しかし、問題は、有効ではあっても癌を「治しきる」ことが出来るかどうかという点にあります。

末期ガンに対して効果的な方法も延命効果や痛みの緩和が出来るものも少なからず在りますが、癌は治しきらなければ遠からず死を迎える病気ですから、根本的には治しきらねければなりません。

気功治療による動物実験でも、人為的に癌を発生させたマウスに気功治療を施して経過を見た実験がありますが、ほとんどのマウスが劇的に改善するも、気功をやめた途端に、急激に癌細胞が増殖し、バタバタとマウスが死んでいった、という例がありますが、それくらい治しきるということは、長期戦を覚悟すべきであり、その分難しさもあるといえるのです。

くれぐれも、いとも簡単に癌が治るなどという詐欺師の口車に乗せられてはなりません。

当研究会も様々な癌の代替療法を調べて来ましたが、いとも簡単に癌が治るものはありませんし、どちらにせよ本人の自助努力と長期的な体質改善が不可欠であり、再発防止もそれに尽きるのです。

「特効薬幻想」の項目で詳述しましたが、病気は体のメッセージであり、いとも簡単に癌が治ってしまうことは、患者から大きな学びの機会を奪う結果にもなります。

また、現在癌の代替療法を実践している方に老婆心から申し上げますと、癌に良いという噂を聞いてワラにもすがる思いで、沢山の健康食品を摂取することは決して望ましい結果を生みません。

勿論、複数の療法を組み合わせることは構いませんが、同じジャンルの療法をゴタ混ぜにして実践するのは辞めておいたほうが無難です。

たとえば、水を工夫し、一種類のコレと決めた健康食品を摂取し、食事はゲルソン療法やマクロビオティックにする、このような内容にするならそれぞれがバッティングもせず、費用的にもそれほどの負担にはならないでしょう。

そして、整体を取り入れるのも非常に重要です。

体をマクロのレベルで調整しておくと、体全体の治癒能力が本来の働きを取り戻し易くなります。

どのようなものでも良いのですが、当会では橋本敬三先生考案の「操体法」を推奨しています。

最後に、最も大切な事を書きます。

癌に限らず代替医療は、素人が生半可な気持ちで取り組むと大変な事態を招きかねないものであることを知って置いて下さい。

癌のような重篤な疾患なら尚更の事です。

経験豊富で広い視野を持った指導者の下で、アドバイスと診断を受けながら行うことの大切さは言うまでもありません。

先ほど、色々な方法をゴタ混ぜにすることの問題を論じましたが、癌に禁忌となる治療法も存在しますから(消化管の癌に対する断食療法など)素人が勝手に取り組んではなりません。

その辺りを十分に考え合わせて、病気に対処されることを望みます。

癌は辛い病気です。

しかし、誤った代替医療で命を更に縮めることがあってはならないのです。

2007/04/11

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