断食について

「断食」について、食養のコーナーで取り上げるのはどうかと思いましたが、何かを食べることも食べないことも「食」に関係することですし、食養法の団体で、断食を推奨している所も少なくないようなので、このコーナーにて「断食」を論じてみたいと思います。

「断食」というと「食わないと死んでしまう」と思い、奇人の所業と捉える人もいるようですが、「食わない」と「食えない」との違いは大きいということを覚えておいてください。

断食療法は単に、「食わない」「食えない」のではなく、きちんとした理論に則って行うことが重要なのです。

「断食」はイスラム教のラマダンや、仏教での修行など、もともと宗教的な意味合いを持ったものでしたが、治病作用や健康増進に役立つことから、いつしか宗教から分離独立し、一つの治療法・健康法として、多くの愛好者・信奉者を生み出すことになりました。

断食療法は民間療法の中でも、もっとも荒治療に属するもので、危険性が大きい分、上手くいけば、大変短期間に難治性の疾病を劇的に回復させる可能性を秘めたものであり、また、難病患者だけでなく、比較的健康な人が行っても、体内環境を浄化し、健康を増進させる効果のある、非常に素晴らしいものと言えます。

主だった原理を簡単に述べますと、命の綱である食べ物を断つことで、生きようとする生命の力を奮い立たせ、宿便などの形で体内の毒素を劇的に排出し、日ごろの良からぬ食生活で低下した栄養吸収力を回復させるというものです。

毒素の排出に関して言えば、最近流行のデトックスの最も強力なものと考えればよいでしょう。

しかし、これだけ強力な作用を持つ断食療法ですから、素人が生半可な考えで取り組むのは、大変危険です。

例えば、腸壁のガンや胃潰瘍、痩せ型の糖尿病など、かえって病状を悪化させる禁忌の病気もありますし(場合によっては良くなる場合もあります)、途中で誘惑に負けてつまみ食いでもしようものなら、腸ねん転等を起こし、命の危険すら伴う諸刃の刃的治療法なのです。

また、断食期間よりも、徐々に通常の食生活に戻していく「復食期間」がもっとも大切であり、これを怠ると、とんでもないリバウンドを起こし、ダイエット目的で挑戦した人は手痛い目を見ることになります。

また、一時的に症状が悪化する瞑眩(めんけん)反応が起こることが多々あるために、そのような場合、専門家のサポートがなければ乗り切ることは困難です。

しかも、瞑眩か単なる断食の失敗症状なのかは、専門家でも見分けるのが容易ではないことから、やはり素人が一人で断食療法を行うのはおすすめできません。

健康だと自分で思っている人でも、断食療法は体の奥底に蓄積された毒素に対しても作用するために、思わぬ反応が起きることもあります。

断食道場として有名な所には、『断食療法の科学』の著者として知られる大阪の甲田光雄先生の「甲田医院」や、日本で唯一の公的断食施設である、淡路島の「五色県民健康村健康道場」などがあります。

ただ、断食道場を選ばれるときは、よく情報を集めてからの方がよいでしょう。

ヨガと記憶術で有名なある指導者の道場では、断食中にできるだけ水を飲まないで(普通は断食中ほど水を飲むことを薦める指導者が多い)、激しい運動をするように指導していたため(普通は運動も厳禁)、死者を出したことがありました。

施設選びは慎重に行わねばなりません。

こんなことをいうのはあれですが、管理人は問題が起きたときの対処には自信があったので、10日間(復食入れて20日間)の断食は自宅で行いました。

物を食べて金を取られるならともかく、飯を食わないで金を取られるのが我慢ならなかったのと、単に当時断食道場に入るお金がなかったためです。

何が何でもご自宅で行いたいという命知らずの方は、断食の本を参考にしながら、1日〜3日間程度の短期断食を試みられるのが良いでしょう。

リスクが少ないこともありますが、一年に何度も行うと、たとえ短期断食といえども馬鹿にできない効果があります。

ところで、よく若い女性がダイエット目的で断食を行い摂食障害になるという話しを耳にします。

これは、その人の「気持ち」によって引き起こされた問題であるということを強調しておきたいと思います

通常、宗教で行われる断食は、自分が食べないことで「貧しくて食べられない人に、自分の分を分けてあげてください」という神仏への祈願が本来は込められているのですが、ダイエットに執着する女性というのは大半が、身勝手で、食の有り難味など考えていないためにそのようなことになるのです。

チューイング(噛み吐き)といって、食事をした感覚のみを味わうために行われている、一度口に入れて噛み味わった後、飲み込まずに吐き出すやり方を摂食障害の女性がよくしているといいますが、これなどは「食」への冒涜であり、バチが当たったって文句は言えません。

ダイエットしたい人は断食などに頼らずに、適度な運動とまともな食事制限を根気よく続けてもらいたいものです。

食養の団体では食養法の補助として断食療法を取り入れている所も多いことから、日ごろの食事の方が大切であるということを覚えておきましょう。

せっかく、我慢して全身を浄化したのに、すぐに以前の食生活に戻ってしまっては、またどんどん毒を溜め込むことになるだけで、根本的な解決にはなりません。

また、断食の経験者は誰もがご承知と思いますが、復食第一日目の重湯の味は格別なものです。

味覚が非常に鋭くなっているからですが、しばらくはどんな粗末なものを口にしても大変美味しく食べることが出来ます。そしてなによりその食事が「有り難く」感じるものです。

管理人の私見では「復食が一番大事」と言われるのは、リバウンドの問題ではなく、この辺りにあるのではないかと思います。

どうせ断食にチャレンジするなら、この辺りを考えて断食に取り組んでみて欲しいですね。

長い時間をかけて悪くした体です。

断食で一気に良くなろうと欲張らずに、ゆっくり時間をかけて治していくのが賢いやり方だと思いませんか?

2007/02/12

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