アルカリイオン水や電解水の問題点

これらの水は、電気分解によって水を変化させる電解整水器によって作られるのですが、いくつかの問題点があります。

■酸化還元電位

酸化還元電位(ORP)を尺度に、体に良い水か悪い水かを判断しようとする風潮があるのは困ったことです。

まず、覚えておいて頂きたいのですが、酸化還元電位は水に溶けている物質によって値が変化します。

アルカリイオン水や電解水のメーカーは、酸化還元電位(ORP)が低く(マイナスの値を示します)、還元力があるために、活性酸素を消去し、健康にも良いとしているのですが、この酸化還元電位の低下は溶存酸素の減少も関係しているために、こうしてできた水では金魚などを買うことはできず、特に赤ちゃんに飲ませるとよろしくありません。

ただし、このような電位を示す水は植物の生育には良い影響を与えます。

また、人体の臓器の酸化還元電位を正確に測定するのは難しいのですが、大体各臓器はマイナス(−100mv程)に調整されるように働いているとされており(これは生命力の一つの側面で、ホメオスタシスであり、自然治癒力であるとも言えます)、意図的に酸化還元電位がマイナスの水を飲むと怠け者の細胞を作り出すことに繋がります。

飲み続けている人が飲用を止めた場合、体調が悪くなる可能性も否定できません。

そもそも、蛋白質等の生体高分子は、水素結合という電気的な結合により、その立体構造を取る事が出来るわけですが、これを還元電位の著しく高い環境や、著しく低い環境に曝した場合、構造が壊れてしまうのです。

勿論、人間の体にはホメオスタシスという機構が備わっていますので、飲んだ水が即座に影響を与える訳ではありませんが、酸化還元電位が低ければ低いほど良いと思われているのは正しくありません。

また、別項で論じてありますが、酸性体質改善の為に、アルカリイオン水を飲んで血液をアルカリ性にしようなどというのも科学知識の欠如した業者の宣伝に過ぎませんし、血液が酸性化することは絶対に有り得ません(ただし、細胞間液にはpHの変動があるようです)。

このような酸化還元電位がマイナスの値を示す水は、重篤な病気の人が、ある一定の期間に限り適量を飲むことで症状の改善に役立てることができるので、バイブル本に書かれているような治験例(?)の全てが嘘であるとは言えないのですが、やはり健康な人が日常的に飲むようなものではないと思います。

カイロプラクターの下條茂先生は名著『痛み、病気、そこに愛はありますか?』の中で、飼っていた重篤な病気を持つウサギにアルカリイオン水と普通のミネラルウォーターを与えてみると、具合の特に悪いときには努めてアルカリイオン水を飲むが、状態が安定してくると、アルカリイオン水は飲まなくなり、ミネラルウォーターしか飲まなくなったという話を紹介されていますが、もしかすると動物はそのようなアルカリイオン水や電解水の問題点について直感的に感じ取っているのかもしれません。

天然水で健康に良いとされている水を調べてみても、ほとんどが+200〜300mvの電位を示すことから、マイナスmvを示す水は不自然であるとも言えるでしょう。

水道水のように酸化還元電位が+500mvや+800mvといった電位を示すものも良くありませんが(塩素が酸化剤として働くために高い値を示します)、アルカリイオン水や電解水のようなマイナスの水も飲用には不向きであると医学統合研究会では考えています。

ちなみに、酸化還元電位は極めて微量の溶質によっても簡単に変化させることが出来、電気分解という面倒な操作をしなくても、抗酸化作用のあるビタミン類を少量混ぜるだけで、簡単にマイナス電位の水を作ることが出来ます。

■活性水素ってどうよ?

電解水の中には活性水素(活性酸素を消去するとされる原子状の水素)を含むために、抗酸化作用を持つと宣伝されているものがありますが、研究者の間では液体中で存在し得るかについては否定的な見解が主流です。

もともとの言いだしっぺは某国立大学大学院のS教授で、健康に良いとされる水は原子状の水素である「活性水素」が溶存しており、この抗酸化作用により様々な効果がある、としました。

また、その活性水素水を人工的に生成するのに、電気分解を用いる方法が良いとして、某メーカーのお先棒を担いだわけです。

しかし、S教授の実験には疑問を投げかける声も多く、集中砲火を浴びました。

医学統合研究会でも水素ラジカルは活性酸素と同じく、極めて瞬間的なものであり、安定して水の中に存在するとは考えられないと思っています。

■無駄な水ができてしまう

アルカリイオン水や電解水は水を電気分解してイオン交換膜を塩橋とし、陰極側に出来た水を飲用するものですが、陽極側には同量の酸性水が出来てしまいます。

このため、2リットルの水を飲むためには、4リットルの原水が必要になり、経済的ではなく、いかんせん水資源の無駄遣いという感があります。

酸性水も洗顔に使用したり、お風呂に入れたりと、色々な使用法が薦められているようですが、洗顔時には目に入る場合もありますので、やはり止めたほうが良いでしょう。

■電磁波被爆の問題

アルカリイオン水や電解水は当然、人工的な電気分解を用いますので、製水器本体から電磁波が放射されます。

お台所に置いて調理などをされますと、電磁波被爆を受けることになり、水とは別の問題が発生します。

また、複雑な処理をする機械はシンプルな構造を有しているものに比べ、どうしても壊れやすいという面もあります。

■おかしなアルカリイオン水批判を斬る!

以上のように、医学統合研究会ではアルカリイオン水や電解水は良い評価をしていないのですが、批判する側の理論にもおかしなものがありますので、念のため見ておきましょう。

京都大学名誉教授で医学博士の川端愛義先生は、アルカリ性の水は酸性を中和してしまう作用があるため、飲むと胃酸を弱め、消化力を低下させるという見解を発表されていますが、胃酸の酸度は極めて強力であり、アルカリイオン水や電解水程度のアルカリ性ではビクともしません。

なぜ、医学博士ともあろう人がこんな間違いをおかしたのか理解に苦しみます。

ウン十年前にアルカリイオン水が登場した時から、電解水は胃酸過多に有効という触れ込みでしたが、仮にこれを事実と認めるなら、やはり万人向きでないことが証明されるでしょう。

胃酸過多の人以上に、低胃酸や無胃酸の人も存在するからで、元々消化力の弱い人の場合、アルカリイオン水は害毒以外の何物でもないからです。

ここはアルカリイオン水を擁護する場ではありませんので、批判の批判はこのくらいにしておきます。

また、大量の水を一度に飲んだ場合には胃を素通りしてしまい、酸性でしか活動できない腸内の有用菌に影響を与えてしまう可能性はあるようなので、やはり意図的にアルカリ性の水を飲むことはよろしくないでしょう…。

結論から言って、電解整水器によって作られるアルカリイオン水や電解水は、あえてその適格な使用法を考えれば、病人向けのものであり、健常者が常飲するものではないと私たちは考えています。

また、アルカリ性の水が良いと言われているものの、高い生理活性が認められる雪解け水は、炭酸ガスの溶け込みにより、pHは酸性を示す訳で、pHを基準に考えることにも疑問があります。

一時、マルチ商法によって爆発的な拡がりを見せた電解整水器ですが、最近は理論的支柱であった研究者も撤退しているなど、これ以上の拡がりを見せるものではないと思われます。

もし、本当にバイブル本に書かれているような治癒例が頻繁に起こっていたら、これだけ製品が普及した日本では至る所で“奇跡”が起こっているはずで、さらに各家庭にまで普及していることでしょう。

2007/03/16

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