害が無いことが決定的に重要

本来は薬事法違反にあたる健康食品の「効果・効能」が、あの手この手で法律をすり抜けて宣伝されているのが、昨今の健康食品業界です。

アガリクスがガンに効く

グルコサミンで関節炎が良くなる

クロレラが○○に効く…etc

様々な「奇蹟の食品」が、現れては消えていきます。

勿論、完全に消え去る訳ではなく、大抵、爆発的ブームの後はそれなりの落ち着きを見せて、以前の勢いこそ無くなっても生き残っていくという場合が多いようです。

ヨーグルトきのこや紅茶きのこは、流石に歴史の試練に耐えられずに消えてしまいましたが…

一般の消費者だってそうバカではありませんから、そのような「奇蹟の食品」をすぐに鵜呑みにしているわけではありません。

こう「奇蹟」が安売りされている現状では、流石に胡散臭さを感じて当然です。

しかし、メーカー側もさるもので、理科系の知識に疎い人々を煙に巻くために、珍妙な科学用語を駆使(時には作り出し)して、理解不能で奇怪な理論を打ちたて、凡そ真面目な研究家や専門家ならば顔を背けたくなるような低俗な週刊誌を媒体に情報発信するなどの手法で宣伝します。

また、○○博士や○○大学教授等の肩書きを持つ人の権威を利用して、自社の商品を宣伝して貰うための、所謂「バイブル本」を書かせたりと、販売手法の巧妙さには驚くばかりです。

そういう学術的啓蒙書的衣を纏った宣伝広告にも、人々はある程度慣れっこになっているので、容易には引っかかりませんが、それでもいざ自分がガンなどの重い病気になると、藁にもすがる思いで、そういったものを求めてしまうのは人間の心理なので仕方ありません。

それで結局直らなかったので、「騙された」となることが多いのです。

多くの人々が、医薬品でもない「食品」に本当に効果があるのか?と心のどこかでは思いながらも、健康食品に奇蹟的とは言わずとも、なんらかの効果・効能を求めて、様々な商品を手にします。

しかし、「効果・効能」はそんなに絶対的に大切なものなのでしょうか?

管理人はあえて、天邪鬼に「効く」ことより「害がない」ことの方がはるかに大切であるということを声高に叫びたいと思います。

例えば、ある人には効いたとしても、他の人には体質に合わなくて、なんらかの健康被害が出るということは少なくありません。

しかし、効かない代わりに、絶対に害がないものであれば、それはそれで良いのではないでしょうか?

本人が「効く」と信じて摂取すれば、何割かにはプラシーボ反応で効果が現れますから、余程高価で経済的損失が出るようなものでなければ、必ずしも有効成分による効果・効能が無くたって構わないと思うのです。

何もしなければ治らなかった人が、その“無害なだけ”の食品を摂取することで、プラシーボ反応が起き、症状が好転したなら、それを「インチキ」と断罪するよりも症状の好転という事実を肯定的に評価してあげても良い気がします。

たとえ、カプセルに包み込まれているのが有効成分ではなく、淡く儚い期待であったとしても一概にそれを馬鹿にする事はできないでしょう。

絶対に治癒が起こりえないような場合でも、それで安心感を与えてあげれば、安らかな最期を迎えることができるかもしれませんから、使い方次第ではただのビタミン剤であれ大きな価値を持ちます。

また、実際に効果があるもの、或いはそれほどではないが少しは期待が持てるようなサプリメントである場合は、「効く」と信じて摂取することは相乗効果的に、予期しないほどの成果を挙げる可能性も否定できません。

食事に限らず、「心」の働きの大切さを理解しておくことは大きな意味があるでしょう。

一つ問題なのは、自分ひとりの「治った」という体験のみで、それをあたかも「奇蹟の食品」と思い込み、周りにいる同じような病気を持つ人々に、使命感から宣伝して回る場合があることです。

また、普通の医者にかかれば簡単に治るような病気が、特定の健康食品に固執したために、症状が悪化し、手遅れになるケースもあります。

代替医療に通じた医師の下でなら、大きな間違いは起こらないでしょうが、自分勝手な判断で病気を捉えることは危険な面があることだけは知っておいて欲しいと思います。

それでも、大抵の医師は西洋医学以外のものは認めたがらない傾向があるので、サプリメントなどを相談すると一蹴されてしまう恐れもあります。

最近では視野の広いお医者さんも増えては来ましたが、一般にサプリメントを医療の中で用いる治療が認知されるのは、まだまだ先の話であるようです。

■健康食品と健康被害

「健康食品」とはいいますが、本来食べ物は健康を維持し、生きていくために必要なものである以上、健康になれない食品ではおかしいことになります。

健康食品は「食品」であるから、医薬品のような副作用はないという風に思っておられる方もいるかもしれませんが、国民生活センターには多くの被害報告が寄せられていることを知っておいてください。

アガリクスやプロポリスなど様々なものに被害報告が寄せられていますが、第一位はクロレラだそうです。

ではこのような健康被害はなぜ起こっているのでしょうか?

@体質に合っていなかった

漢方では、患者の「証」によって葛根湯や小柴胡湯等の、投与する方剤を決定するために、その人の「証」に合致しない薬を使うと当然害が出る可能性があります。

健康食品でも、その人の体質に合わないものであった場合、同じようなことが起きる可能性があります。

例えば、果実類から抽出されたサプリメントは、大抵、体を冷やす性質を持っているので、体の冷えやすい人が、冬場に食べると特に問題を起こしやすいでしょう。

植物性のサプリメントで下痢が起こる場合は、まずは瞑眩ではなく、冷えによる下痢を疑うべきです。

A量の問題

たくさん飲めばもっと効くに違いないという素人考えで、標準的な量を超えて摂取してしまった場合に起こる問題です。

柿なども大量に食べればお腹を壊すように、食べ過ぎれば何らかの害が出ることは普通の食べ物でもよくあることです。

一般にサプリメントには過剰摂取の危険が付き纏います。

食事で栄養素を摂ろうとする場合、ある程度の所で満腹感が出てきて安全弁が働きますが、栄養素を凝縮したサプリメントなら、簡単に過剰摂取に陥る恐れがあるのです。

栄養は利用するにもエネルギーが必要ですが、不要分を捨てるにもエネルギーを必要とします。

よく、高い吸収率を売りにした健康食品が出回っていますが、過剰摂取がどれほど有害なものかを考えておく必要があります。

B明らかに有害な成分を含んでいる

もともとの原材料に何らかの毒性があったり、製造の過程で有害な物質が混入してしまったりということがありえます。

また、以前問題になった中国製の食品には無理に薬効を出すため、医薬品にのみ使用が許可されている成分を意図的に混ぜていた結果、健康被害が出たことがあります。

C抽出方法の問題点

一般に、製薬に携わっている人には常識なのですが、ある特定の成分を単離抽出(ナノ粉砕や超臨界抽出など様々な手法があります)したり、純粋な物質を合成した場合、副作用が起きます。

ガンを予防するはずだったβカロチンの単独投与が喫煙者の肺ガン発病を促すことが分かり、「フィンランドショック」と騒がれたのは記憶に新しいでしょう。

これはまだまだ未解明の部分がある機序ですが、単独では有害な作用を持つものがお互いの害作用を打ち消しあって有効な作用を発揮していると考えられており、食養の世界で言う一物全体に通じるものがあります。

また、製造時に予想外の化学変化が起こって有害物質が発生する場合もありますし、工業的に抽出する際に用いる触媒から良からぬ物質が混入する可能性もありますので、原料が安全なものであることは当然として、製品化の過程もとても大切です。

D瞑眩(好転反応)が起こった

これはそう多くは無いと思いますが、治癒に向かう過程で、一時的に症状が悪化する「瞑眩(好転反応)」に驚いて、副作用と勘違いしてしまうこともあろうかと思います。

瞑眩(好転反応)については別のコーナーで詳細に解説したいと思います。

以上のように、健康食品による被害は無視できないものですので、「効果・効能」よりも「無害性」の方が、遥かに重要であるという考えも、あながち天邪鬼な偏論極論でないことはお分かり頂けたでしょう。

最後に古代ギリシャの医聖・ヒポクラテスの言葉をご紹介して、本項を終りにしたいと思います。

「何よりも害を与えてはならない」

2007/03/04

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