牛乳を飲んではいけないか?

人間に必要なあらゆる栄養素が含まれている“完全食品”であるとして、学校給食にも必ず並んでいる反面、最近では『牛乳神話完全崩壊』や『牛乳には危険がいっぱい?』等、牛乳を批判する内容の書籍も出版されるようになってきて、「牛乳=体に良い」という図式に疑問が投げかけられるようになりました。

マクロビオティックなどの食養の分野では、本来牛の赤ちゃんが飲むものであり、人間が飲用するのは望ましくないという理由で、牛乳の飲用は否定されていました(故日野厚先生の著作に詳しい論稿が収録されています)。

私自身は、牛乳そのものはそう悪いものではないと思っていますが、現代の日本において、日本人が飲用するのは控えるべきだと考えています(日本のアレルギー患者の45%に牛乳アレルギーがみられるとのことです)。

まず、よく言われることですが、日本人は牛乳中のラクトースを加水分解するのに必要な酵素である「ラクターゼ」の分泌が先天的に少ない場合がほとんどであり(乳糖不耐症)、飲用しても体内で上手く処理する事ができない為、下痢などを起こす原因になります。

ヨーグルトやチーズなどの乳製品の場合は、製造時に微生物の働きにより、乳糖の一部が分解されているので、問題は起こりにくいようですが、全体に日本人には、牛乳を飲むとお腹を壊すという人が多いのです。

しかし、歴史的に乳製品との付き合いが長い民族の場合は、ラクターゼの分泌も十分であり、貴重な栄養源でもあるのですから、、善し悪しではなく摂取する側の体質の問題と言うべきでしょう。

ですから、私は日本人の体に合わないというだけであって、牛乳自体は悪いものであるとは思っていないのです。

問題にしたいのは、牛乳それ自体ではなく、今日私達の食卓に供給される牛乳の製造過程です。

まず、野菜が農薬まみれであるのと同じく、乳牛もホルモン剤や抗生物質などの大量投与で、病的な状態にあり、当然そのような乳牛からは良質な牛乳が採れるはずはないでしょう。

効率性最重視の大規模畜産の弊害が牛乳にも顕著に現れているようですが、それだけでなく、乳量を多くしようとして牛の体液まで搾り取ってしまっている場合が多いと聞きます。

また、日本は気候的に微生物が繁殖しやすいので、一旦熱処理したものでないと市販できないと法律で定められていて、「低温殺菌法」(65℃、30分間)や「高温殺菌法」(75℃、15秒)が用いられているのですが、処理時間が短くて済むというまたもや経済性重視の発想から、多くは沸点以上の高温で殺菌を行う「超高温殺菌法」120〜130℃、2〜3秒)が主流で、高温で殺菌することにより、過酸化水素などの活性酸素が発生し、蛋白質にも熱変成が生じる為、牛乳の質が劣化してしまうのです。

低温殺菌においても、多少の悪影響があるようで、私達の手元に届く頃には、飲用に適さない状態になっているようです。

以上のように牛の飼育法に起因する問題と、原乳の処理法の問題とが相まって、牛乳が本来の姿ではなくなってしまっているので、やはり極力飲用は避けたほうが良いというのが私の結論です。

以前、二度ほど良い環境で飼育された牛から絞りたての状態で牛乳を飲んだ経験がありますが、食感も味も市販されているものとは全く違っていて、やはり新鮮な状態に勝るものはないと痛感した記憶があります。

余談ですが、一部の食養家に見られる、牛乳をアレルギー疾患と安直に結びつける見方には、疑問を感じます。

牛乳を沢山飲む人は、他の食事の内容も、和食とはかけ離れたアメリカナイズされた食事である可能性が高いからです。

その場合は複合的な理由があるはずで、牛乳のみに真因を見出そうとするのは軽率でしょう。

2008/03/04

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