健康の“変数”

群馬大学の高橋久仁子教授提唱する処の「フードファディズム」は、単一の食品の摂取が健康維持や疾病治療に貢献するという思想及び行動を批判する言葉として、よく知られるようになりました。

このHPでも再三に亘って、そのような考え方の誤謬と危険性について論じてきたわけですが、それは“健康”というものが単一の要素の上に成立したものではなく、極めて多岐に渡る要素が、怪奇とでも形容したくなるほど複雑に絡み合った系であるという単純な理由によるものです。

当然、その人の生まれ持った体質や、時々の状態によって、必要なものは違ってきますから、単一の要素のみを論じることには意味がありません。

まず、大まかに見て健康や疾病への影響が著しい要素をいくつか挙げてみましょう。

遺伝的要素は除外します。

何より大事なものは、“食事”でしょう。これが基本的には全てのベースになります(内容は個人の体質により当然変わってきます)。それから、“水”、“環境磁場”、“運動量”、他にも“姿勢”や“呼吸の深浅”、“感情のあり方”…etc

“健康”とは、このような多くの要素が相互連関の関係にあって現出するものであり、どれか一つだけを正せば万事解決という訳には行かないものなのです。

■正しい呼吸を作るのは、正しい食事と正しい姿勢

そんなに沢山の事に気を付けないといけないというと、気が滅入りそうになりますが、必ずしもそうではないので御安心を・・・。

そのヒントは、健康に関する諸要素は“相互連関”の関係にあるという所にあります。

“相互連関”は、本来経済学者のレオン・ワルラスが提唱した「一般均衡理論」において扱われる概念ですが、ここでは“相関関係”とでも理解しておいて頂ければ結構です。

つまり、それらの諸要素は、別個に単独に存在しているのではなくて、互いに影響を与え合う関係にあります。

ですから、どれか一つを正せば、全てが万事解決、とまでは行かないものの、他の要素にも少しは影響を与えることになるのです。

代表的なものとして“呼吸”を挙げてみましょう。

様々な呼吸法に関する書籍が書店には並んでいますが、どうもその本質を捉え損ねているものが少なくないように見受けられます。

呼吸の操作ばかりに注意が払われ、食事や姿勢が平素の呼吸に及ぼす影響について触れられていないのです。

例えば、白砂糖の摂取過多になると、大腰筋に力が入らなくなり、腰が立たない状態になってしまいます。

そうすると、必然的に姿勢が悪くなり、姿勢が悪くなると次第に猫背と呼ばれる状態になってしまい、今度は肺が圧迫され、深い呼吸が出来なくなってしまうのです。

また、東洋医学では、肺は金気であり、“憂・悲”の感情と対応していますから、このように肺が圧迫された状態で呼吸していると、気分も沈みがちになり、鬱のような状態になってしまいます。

これを呼吸法の修練によって改善しようとしても、上記の構造を理解すれば、中々解決が困難であるということが分ると思います。

同じように、姿勢のみを矯正しようとしても中々難しいでしょう。

姿勢の矯正や呼吸法は決して無駄ではないのでしょうが、まず、食を改善することが姿勢と呼吸を望ましい状態に持っていく基礎になります。

このように、自分の生活習慣や体の状態をよく見極めて、優先順位の高いものからコツコツと改善していく努力を積み重ねていけば、気が付いた時には、健康上の問題も改善され、より強健な状態になっていることでしょう。

多くの要素があるからといって尻込みせずに、まず最初の一歩を踏み出して見ましょう。習い事や勉強もそうですが、ある時点から飛躍的な変化が起こることは、何事においても珍しいことではありません。

2007/04/24

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