サイ・テクノロジー 井村宏次 著

「スプーン曲げやユリ・ゲラーに代表される超能力ブーム、オカルトブームが吹き荒れる中でも、著者はつねに毅然とした態度をくずすことがなかった。本書は、その10年余りにわたる実験・研究成果の集大成である。」(著者プロフィールより)

大阪で1972年より生体エネルギー研究所を主催し、孤高の探求を続けてこられた井村宏次先生は、キルリアン写真などオーラ研究の第一人者として知られていますが、鍼灸師としての顔も持ち、独自の理論を駆使して「気」を用いた治療術の研究も深められており、其の分野の成果は『気の医学 1、2』(アニマ2001刊)として発表されています。

医学統合研究会のHPでご紹介するなら、そのような著作にすべきにも思えましたが、その書物としての密度たるや『サイ・テクノロジー』の比ではありませんし、健康にまつわる製品や理論が、オカルトとしか言いようの無い代物のあまりに多すぎることを考え、本書のような極めて健全な姿勢で、超自然現象や超科学に取り組んだ本を紹介する方が、読者の皆様にとって有益と考えました。

「アトランティス」や「未来予知」など、免疫の無い人には極めてキワドイ記述も満載ですが、井村先生の筆致はあくまで冷静そのものであり、その透徹した眼差しが、大抵はキワモノ読み捨て本になってしまうはずの主題を、読むに耐える書物にまで昇華せしめています。

また、地磁場や水など、医学統合研究会で紹介したテーマに纏わる章も用意されていますので、オカルト嫌いな読者にも有益な内容を提供してくれています。

井村先生のここ最近の著作は、本書を含めた初期の著作が持つ輝きを失ってしまっていますが、これだけ素晴らしい本をお書きになっただけでも大変な成果と言えるでしょう。

また、失われた「霊術」と「霊術家」(明治〜昭和初期にかけて勢があった民間療術。東洋的な装いをしているが、多くは催眠術と欧米の手技療術の影響が強い)にスポットを当て、再評価の機運を高めた『霊術家の饗宴』(心交社刊)も類書のない優れた著作であり、こちらは歴史的資料としても重要なものですので、是非ご一読をお勧めします。

2007/06/08

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