海洋深層水は飲用に適しているのか?

最近は、少しブームも下火になった感もありますが、一時期の海洋深層水ブームはかなりのものでした。

ブームを終焉に向かわせたのは、ご多聞にもれず、水商売の常套手段である薬事法違反のキャンペーンでしたが、某大手メーカーなどは、海洋深層水をほんの僅かしか含まない水を「海洋深層水使用」と謳って販売していたことが発覚し、これも消費者の間での大きなイメージダウンに繋がりました。

しかし、今でもスーパーなどで海洋深層水が売られているのを見かけますし、高価な商品を愛飲している方もおられるようです。

そこで、少し海洋深層水について勉強してみましょう。

海洋深層水とは、水深200メートル以上の深海に分布している海水で、表層水とは物理的・化学的に異なった特徴を有する海水の事とされています。

要するに、表層水以外の海水のことですから、地球上に存在する水の殆どが海洋深層水に分類できる事になります。

表層水との大きな違いは、清浄性、無機塩類の豊富さ、低温安定性を有している点です。

清浄性については、表層水のように人間が出す排水による汚染を受けない為、化学的汚染の心配が無い事が売りになっています。

また、深海部は太陽光が届かない為、プランクトン等も生息できず、雑菌類もほとんど存在しません。

しかし、ミネラルを豊富に含む(海水ですから当たり前ですよね)ことを謳い文句にして、水によるミネラル補給を主張するのは戴けません。

それ以前に、飲用として販売されている海洋深層水は、汲み上げた水をそのままペットボトルに詰めた訳ではなく、塩分除去やミネラル分調整などが行われているのです(海水ですからそのまま飲めないのは当たり前です)。

そんなに手間隙掛けて作るなら、始めからミネラル分を多く含んだ湧き水で良いのではないかという疑問が出てきて当然です。

清浄さを問題にするならRO(逆浸透膜法)で処理した水にミネラルを添加すれば同じことです。

また、2003年には清浄さが売りだったはずの海洋深層水から基準値を上回る濃度の水銀が検出され、業者が自主回収したという事件もありましたから、案外清浄かどうかも判らないものです(その時は中毒症状を起す程の濃度ではなかったようです)。

色々と海洋深層水の飲用について、否定的な意見を述べてきましたが、一つの海洋資源としての将来性はかなり高いものであると考えています。

まず、注目を集めるきっかけになった低温性に注目した温度差発電の利用は、化石燃料消費による地球温暖化対策としても有効でしょうし、雑菌が少ないことを利用して養殖業に利用されているとも聞きます。

また、もともと海水は体内のミネラルバランスと酷似しており、生命が水から誕生した事の象徴として語られる事が多いわけですが、臓器保存液として用いた所、従来の生理食塩水と比較して明らかに高い保存効果が確認されたとのことで、医療面での利用も今後盛んになりそうな気配があります。

しかしながら、ミネラルウォーターとしてはかなり高価な部類に入る海洋深層水を飲用するのは、上記の問題を踏まえて考えた場合、果たして得策と言えるのでしょうか?

私たちは魚ではなく、人間なのです・・・

2007/03/24

トップへ