千島学説入門 忰山紀一 著

長らく黙殺され続けてきた異端の医学・生物学「千島学説」をコンパクトに纏めた好著です。

千島学説は、岐阜大学農学部教授であった故千島喜久男氏(1899〜1978年)が提唱した八大原理の総称であり、血液が骨髄ではなく腸で作られるとする「腸造血説」は特に有名ですが、その他にも赤血球が各細胞に分化したり、その逆が生じたりする「血球の可逆的分化説」、パスツール以来の定説を真っ向から否定する「生命の自然発生説」などがあり、その学説は、現代の医学・生物学を根底から覆す内容である為、正統派の学会からは黙殺され続けてきましたが、代替医療の分野では、その理論的支柱として扱われることの多い学説です。

信じる信じないは読者の判断にお任せするしかありませんが、この千島学説を手っ取り早く知るための本として、本書をご紹介する次第です。

千島喜久男博士の著書は、現在でも『血液と健康の智恵』(地湧社刊)あたりが入手しやすいものですが、その全貌を知ろうとすれば『千島喜久男選集全五巻』(10万円+消費税)という、分量も金額も途方も無い書籍に取り組まねばならず、余程の情熱が無いと購入も読破も困難ですから、本書『千島学説入門』の価値は大きいと言えるでしょう。

他に、千島学説の入門書として稲田芳弘氏の『ガン呪縛を解く』があり、こちらも中々読みやすく分かり易い内容ではありますが、この本はあくまでも癌がテーマなので、千島学説と直接関係の無い話題も出てきますし、やはり本書の方が入門書としては適していると思われます。

上梓に七年の歳月を費やしたというだけあって、内容もよく纏まっており、文章の格調高さも申し分ありません。

情熱と愛情をもって書かれた本は、どのようなものであれ読んでいて好感を感じます。

最後は「千島学説は百年後の学説か」というタイトルで締めくくられていますが、一日も早くその学説が再検証されることを願ってやみません。

2007/06/03

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