水はミネラルの補給源にはなれない

近代農法により収穫される農産物の栄養価の低さは、既に周知の事実であり、其の観点からも、手間隙かけた有機農法の価値が見直されていることは非常に喜ばしいことですが、現代人のミネラル不足を逆手にとって、ミネラルウォーターからミネラルを補給しようと宣伝する業者の居ることは、いただけません。

野菜に含まれるミネラルの量が減っている分、良質なミネラルウォーターを飲んで補いましょうという宣伝の巧みさと下劣さには、ただただ呆れるほかありません。

確かに、「〜の美味しい水」のような天然水は、軟水がほとんどの日本にあって、水道水よりも高いミネラル含有率を持つわけですが、それでもそのミネラルは野菜類に含まれる量と比べれば、比較にならない程微量であって、水からミネラルを補給するなどということは、イメージ先行の愚行に過ぎません。

栄養所要量でいって、普通の生活をしている30歳〜49歳の日本人男性の場合は、カルシウムは一日あたり600mg、マグネシウムは320mg、カリウムは2000mg必要とされています。

試しに、某有名メーカーの天然水「R甲のOいしい水」が公表している成分を調べてみると、Tリットル中、カルシウムは6.5mg、マグネシウムは3.7mg、カリウムは0.6mg含まれているそうです。

比較して一目瞭然、カルシウムの一日の必要量を「R甲のOいしい水」から摂取しようと思ったら、92リットル、マグネシウムなら86リットル、カリウムに至っては3333リットルという大量の水を毎日飲まなければならないことになります。

勿論、すべての必要ミネラルを水からだけ摂るわけではないのでしょうが、この計算だけ見ても、水を野菜代わりにするという宣伝の非現実性が明瞭になるでしょう。

(※上記の某天然水は、あくまで分かりやすく計算する為にご登場頂いただけであり、そのような下品な宣伝を行っている商品ではありません。念のため・・・)

水中のミネラルは、水が適度な構造を得るために必要なものであって、決してミネラルの補給源として存在するものではないのです。

最近では、糖尿病に良いとしてバナジウム入りの天然水が市販されていますが、バナジウムは人間の必須元素ではありませんし、バナジウムを摂りたいだけなら、マッシュルーム(バナジウムを豊富に含みます。勿論水よりも!)を毎日食べるほうがはるかに良いでしょう。

そもそも、一般の方は「ミネラルたっぷり」という宣伝文句が、すぐに「健康」のイメージに結びついてしまうようですが、ミネラルは過剰に摂取すれば害がありますから、当然摂取の上限もありますし、微量でも水銀やカドミウムは重篤な障害を齎します。

カドミウムというミネラルたっぷりの水や野菜を摂取した結果が、あの恐ろしいイタイイタイ病だったわけで、ミネラル(特に重金属)には、注意が必要なのです。

しかし、それら物騒なミネラルも、極めて微量には人体に必要なものであって、一概に悪者とも言えません。

兎に角、ミネラルを短絡的に健康に結びつけて考えるわけにはいかないことだけは知っておいて戴きたいと思います。

少なくとも、ミネラルたっぷりの水を野菜代わりにしようなどという幻想だけは懐かないで下さい。

2007/03/26

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