マイナスイオンの話

最近は少し下火になったようですが、一時期のマイナスイオンブームは本当に凄まじいもので、“マイナスイオン”の名を冠した商品が巷に溢れていたことは記憶に新しいでしょう。

ブームを牽引していたのは、言わずと知れた堀口昇・山野井昇の両氏ですが、いわゆる“正統派”を自認する研究者から“疑似科学”として集中砲火的攻撃を受けたことで、マイナスイオンフィーバーは一気に沈静化しました。

「マイナスイオン」は、少なくとも現時点では明確な定義を欠いた和製英語に過ぎず、私達が学校の理科の授業で習う、陰イオン(アニオン)とは基本的に別のものです。たとえば、通説ではマイナスイオンは体に良く、プラスイオンは体に悪いとされていますが、カルシウムイオン(Ca2+)は体に悪くて、塩素イオン(Cl−)は体に良いということになってしまいます(勿論どちらが良い悪いというものではなく、生体内におけるバランスが肝要であるに過ぎません)。

日本で「マイナスイオン」として扱われているものは、100年以上前から欧米では「ネガティブイオン」の名称で研究されてきました。

勿論、教科書に記載されているアニオンとは別物としてです。

一頃、「硝酸イオン」がその正体ではないかとの仮説が囁かれたことがありますが、これは環境汚染物質であるため、今日では否定されています。

ただし、マイナスイオンが全くのインチキかというとそうでもないのです。

そのような機器を用いると動植物の生育に明らかな有意差があることも多数報告されており、全てが出鱈目とも言えません。

私の知る或る療術家は、イオンなどという科学用語らしき言葉で説明するから反って疑似科学的になるのであって、東洋医学的に「邪気」と「正気」として分類する方が誤解を生じる可能性が少ないのではないか、と語っていましたが、私も同感です。

しかし、このマイナスイオンも中々のクセモノのようで、空間中に過剰に存在すると反って健康を害するように働くのではないかという意見もあるのです。

人体は、全体として電気的に中性であるのが健康な状態である為、ここに大量のマイナス電荷のものを与え続けると、体の方がバランスを取るために反対の電荷(プラス)のものを作り出そうとして体内にラジカルを生じることになり、過剰なマイナスイオンに曝され続けるのは有害のようです。

私は門外漢なので本当の所は分かりませんが、人工的な機械を用いて何かを発生させるとすれば、それは一方向の働きしかしないのが常ですから、供給過多になってしまうのは有りそうな話です。

私自身は、マイナスイオンそのものよりも、そこに群がる人々の胡散臭さの方に目が行ってしまいます。

結局は「マイナスイオンで〜が治った!」式の話が溢れかえる御馴染の構図があるだけです。

ちなみに、いつだったか家電量販店にドライアーを買いに行ったら、全ての機種にマイナスイオンの宣伝文句が書いてあったので、仕方なく「マイナスイオンドライヤー」を買う羽目になりました。

私もこれでマイナスイオン愛好家の仲間入りです。

(ドライヤーから出ているのかは、かなり怪しいと思います)

2007/04/16

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