不老長寿の水を科学する 全武植 著

六角水理論の提唱者、全武植教授の本です。

全武植教授は惜しくも2004年に他界されましたが、アメリカの有機化学の大家ヘンリー・アーリング博士(1901〜1982年)と共に、核磁気共鳴装置を駆使して、現在流布しているクラスター理論の原型を作った人物です。

しかし、全武植教授はその後、このモデルに改良を加え、水の良し悪しを決めるのはクラスターの大小ではなく、水分子同士が形成するクラスターの“形状”にあり、六角形を形作るクラスターの含有率が高い水こそが、人間が摂取するに相応しい水であるとしました。

また、癌細胞の周囲には、六角クラスターとは対照的に、構造を破壊する五角形のクラスターが多いことから、全教授は六角水を飲用することで癌などの重篤な疾患も治る可能性があることを本書で示唆しています。

また、自然界にあっては、雪解け水が六角クラスターを豊富に含む水であり、人工的に六角水を作る方法として磁場処理やカルシウムを添加した水を電気分解してアルカリイオン水を作る方法を推奨していますが、これらの諸問題については全教授が認識していなかったのか、見てみぬフリをされたのか触れられていません(電気分解方式で生成した六角水の寿命が短いことや、電解において十分な効果を出す為には水と電解槽との接触時間が短すぎる事には触れられていますが)。

ひょっとすると、全武植教授が72歳という韓国人の平均寿命に満たない年齢で他界されたのはアルカリイオン水をガブノミしていたからではないかと勘ぐってしまいます。

それは兎も角として、本書の惜しむべき点は、メタモル出版というキワモノ出版社から出てしまったことであり、恐らくアルカリイオン水のバイブル本という意図での事と思いますが、内容が良いだけに残念であります。

岩波文庫や岩波新書のように、どんなクズ本でも名著のように見えてしまうシリーズもあれば、カッパブックスのようにどんな名著でも通俗本にしか見えない造りのシリーズもありますから、見た目で判断してはいけないのは人間だけに限った話ではなさそうです。

2007/05/29

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