健康食品・中毒百科  内藤裕史 著

決して公には語られることのない健康食品の闇に迫った労作です。

以前から何度も触れてきましたが、医薬品のような副作用がなく、兎に角健康に良いとして販売されている健康食品も、かなりキワドイ成分を含むものが少なくなく、摂取によって健康を害したり、時には死を招く事例もあります。

毎年、国民生活センターには健康食品による健康被害(金銭被害はもっと多い)が沢山寄せられていますが、中々私たちの耳にその詳細が届くことはありません。

多くは薬事法との絡みで事件化するのですが、成分自体に毒性があったり、特定の体質の人が摂取した場合にのみ問題を起す健康食品もあり、この分野に関心を持つ人は是非本書を座右に置くことをオススメします。

勿論、本書は健康食品の負の側面にのみスポットを当てようとするものであって、頭から鵜呑みにしてしまうと、恐ろしくて健康食品など食べられなくなるような記述に溢れていますから、その点は割り引いて読む必要があります。

漢方に使われる生薬についても、何やらおっかない記述が延々と続いていますが、望聞問切という綿密な診断によって証を決定し、適切な処方を行う漢方処方の基礎を飛ばして健康被害を論じるなど、如何にも現代医学薬学の研究者らしい荒っぽい記述もあり、全体として手放しでオススメするという訳にも行きませんが、内藤先生の提唱する「中毒学」の有益性は、それらの欠点を補って余りあるものであり、「自然」「天然」という言葉が、すぐに「健康」に結びついてしまう短絡的思考の持ち主には、良い意味で大きな衝撃を与えるに違いありません。

この名著が上梓されてから程なくして、版元の丸善が倒産し、この名著が幻となってしまうかとヒヤヒヤしましたが、現在でも入手可能な状況です。

是非、多くの方に読んで欲しい名著です。

2007/06/07

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