オゾン殺菌の問題点

フロンガスの乱用によるオゾン層の破壊がもたらす紫外線の影響は深刻な問題であり、南極上に巨大なオゾンホールが確認されてからは、ますますこの「オゾン層を守れ!」というスローガンの下に、フロンガス撤廃が叫ばれるようになったため、いつの間にか「オゾンは善玉」というイメージが定着してしまったようです。

オゾン(O3)は、O2とOとに分離し、Oはシングルオキサイドとなって活性酸素の働きをし、これを殺菌力として利用しているのが「オゾン殺菌」です。

塩素の大量投入による殺菌システムが水道行政では採用されていますが、塩素殺菌の弊害が知られるようになるにつれ、オゾン殺菌と塩素殺菌を併用したシステムを採用する自治体が増えてきています。

塩素殺菌を併用しているのは、オゾン殺菌の持続時間が短いためですが、高度浄水処理で用いられるオゾンは殺菌というよりも、強力な酸化力によって有機物を分解処理するために用いられている面が強く、塩素の投入量は減らせますが、ゼロにできるわけではありません。

このオゾン殺菌を特色とする高度浄水処理は、取水源の汚染の進行によって、水道行政においてかなり広く行われるようになってきました。

問題は、オゾン殺菌システムを利用した製品(水を殺菌するものと、空気を殺菌するものがあります)が、一般家庭にも及んできている点です。

言うまでもなくオゾンは活性酸素であり、確かに殺菌効果はあるかもしれませんが、それは人体にも悪影響を及ぼします。

高度浄水処理においては、常にオゾンが漏れ出ないように監視されていますし、処理後のオゾンも活性炭処理や熱分解によって酸素に戻すというシステムになっています。

また、人間は単独で生きているのではなく、様々な微生物と共存共栄の関係にあり、オゾン殺菌でこれらの微生物を殺してしまうことは、農薬で害虫を皆殺しにするのと大差なく、後で手痛い目を見ることは、間違いありません。

これは抗生物質を例に出すと分かりやすいかもしれません。

ペニシリンなどの抗生物質は、そのメカニズムが解明された当初、人間には全く無害であると思われていました。

何故なら、これらの薬剤は、細菌が持つ細胞壁の形成を阻害する為に、抗菌作用を持つのですが、人間は細胞膜は持っていても細胞壁は持ち合わせていないので、何の害も受けないとされていたからです。

しかし、これは人間の細胞にのみ注目した視点であり、微生物との共生関係は全く視野の外に置かれています。

最近では、薬剤耐性菌の出現によって、安易な抗生物質の使用は症状の悪化を招くことが知られるようになって来ました(菌交代症といって、病原菌を駆逐しようとして抗生物質を投与する事で、今度は抑えられていた耐性菌が表舞台で猛威を振るうようになる現象はよく知られています)。

このように、直接人間の細胞が害を受けなければ良いとするのは大きな間違いであり、人間のエゴに過ぎません。

現在、市販されているオゾン装置に設けられている安全基準は、あくまでも人間を基準にしたものであり、微生物を含む共生コミュニティに意識が行き届いていないのです。

また、オゾンで水を処理すると、水分子同士の適切な結合構造が破壊され、水の本来の働きも阻害されるようです。

大量の活性酸素を水中に発生させる処理法なのですから、当然と言えるのかもしれません。

家庭用のオゾン整水器で作られた水をそのまま排水するのもよろしくないでしょう。

また、空気を殺菌するオゾン発生機は勿論、オゾン整水機からも、オゾンが多少は漏れ出て来るために、稼働中そばにいると活性酸素に曝されることになります。

オゾン生成機だけでなく、マイナスイオンの発生を謳ったマイナスイオン生成機にも、オゾンを発生させている物がある為に、安易に取り扱うことは一考を要すると思われます。

しかし、繰り返しましたように、オゾンはフロンガスにイジメられている正義の見方でも何でもありません。

我々の頭上では、地上に届く紫外線の量を減らして、生物への害を防ぐ役割を担っていますが、あくまでも「活性酸素」なのです。

2007/03/15

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