作用機序の解明は一番後回しで良い

明らかに荒唐無稽な理論をその身に纏ったインチキ療法が氾濫している反面、正統派によって“疑似科学”のレッテルを貼られた体系の中にも、作用機序の詳細は不明ながら、確かな効力、時に現代医学に対し脅威を突きつけるかのような素晴らしいものが存在することを私は知っています。

それらは、理論に不備がある、或は非科学的という理由で批判されていますが、私には作用機序の根本的解明など一番後回しにしても良いような、優先順位の低いテーマであるとしか思えません。

勿論、科学的な裏付けは大切ですし、たとえ仮説の域を出ないものであれ、それを実際に人間に対して適用するには、理論は不可欠なものかもしれません。

しかし、まず第一に検証されるべきは、その効果の真偽であり、副作用の有無であり、もし効果があるならどの程度か、副作用があるならどのようなものか、費用対効果は十分であるか…などといった点であり、作用機序の解明に対する努力も平行して継続されなければならないとはいえ、その点の不備のみを取り上げて否定するのは決して建設的とは言えないでしょう。

日本人には馴染みの薄い医薬品ですが、アメリカでは常備薬と言っても良い「アスピリン」という薬があります。

元々は柳の木から抽出された生薬で、古くから消炎・解熱・鎮痛などの作用が知られていました。これが後に医薬品としてアスピリンになっていくのですが、驚くことにドイツのバイエル社が1897年に医薬品として製品化してから、プロスタグランジンの発見により詳細なメカニズムが知られるようになるまで、70年以上もその作用機序は謎に包まれていたのです。

これほどの大衆薬でさえ、長きに渡り、メカニズムが不明だった訳ですから、やはり、その有効性にこそ第一義が置かれるべきであり、メカニズムそのものの優先順位は低いと考えるべきでしょう。

一番良くないパターンは、メカニズム不明なものを説明するために、荒唐無稽な理論を創作するケースです。

良かれと思ってしたことでも、結局はおかしな衣装を着せたために、中身の信憑性にまで傷がつく結果を招来し、自分で自分の首を絞めることになるのです。

かかる事例で多用されるキーワードは、やはり何といっても“波動”であり、一見科学的装いを創出するために非常に重宝がられている魔法の用語なのです。

波動の名を冠した技術や製品の中にも、見るべきものは在るのですが、作用機序を無理やりでっち上げるために波動の語を使用するのは賢明な手段ではないと知るべきでしょう。

2007/04/21

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