東洋医学への警告 鈴木章平 著

産婦人科医である鈴木章平先生による東洋医学の批判書です。

といっても、ありきたりの西洋医による東洋医学の糾弾書ではありません。

本書の著者である鈴木先生は、信州大学で学ばれた現代医学のドクターですが、『臨床中医学の診断と処方』『証でみる傷寒論』などの本をお書きになっているように、漢方を深く研究された東洋医学のスペシャリストであり、その深い学識を基に、日本で行われている東洋医学の問題点を鋭く指摘したのが、本書『東洋医学への警告』という訳です。

この本は、一般には全くといって良い位知られていない無名の本ですが、これ程鋭い視点で日本における東洋医学の問題点を浮き彫りにしたものは見当たらず、知る人ぞ知る名著とはまさにこの本の事を云うのではないかと感じます。

小さい新書版ながら、その内容の濃密さは中々侮れません。

とかく東洋医学の本というのは、医学知識の欠如した無知な人々を対象にした物売り本であったり、現代医学に凝り固まった西洋医による盲目的な批判書であったり、専門家が専門家を読者に想定して書いたガチな内容であったり、或は当たり障りの無い知識を単に羅列しただけの入門書である場合がほとんどですが、本書はそのどれにも当てはまらないユニークな内容で、読者を惹きつけます。

副題に「知識人のために書かれた東洋医学の現状と批判」とあり、「医学知識は乏しいけれど、教養はある」という人が読んで非常な説得力を持つ内容で、公平な視点で、東洋医学を含めた様々な民間療法の分析を試みています。

もっとも、様々の療法を論じているので、中には公平を欠くように感じられる論及も無いではありませんが、類書が無い中、本書が発する“警告”は耳を傾けるべき価値を秘めていると思います。

医学統合研究会のHPを作成する上でも、本書の考え方は大変参考にするところがありました。

本当は秘密の本としておきたい所ですが、人知れず埋もれているこの良書に注目を集めたいという使命感には到底勝てず、ここにご紹介した次第です。

2007/06/04

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