体質は変わるか?

健康食品業界の無規範な販売活動を制限するために、薬事法は重箱の隅をつつく様な厳しい内容になっていて、効果効能の表示は言うに及ばず、疾病の治療や予防の効果を少しでも匂わせるような表記は全てNGですし、肝臓や心臓などの臓器の名前が何処かに書かれていても、薬事法に触れることになります。

「自然治癒力」や「美肌美白」などの表記もけしからんそうで、代替医療やアヤシげな健康グッズ類の常套句である「体質改善」という表記も勿論抵触します。

しかし、この「体質」という言葉、医学の世界での使用頻度は決して高くなく、健康情報を垂れ流す品位の低いマスメディアに登場する、これまた品位の低い医学博士様の口から連発されることはあっても、実際の医学の現場ではせいぜいアレルギーや薬の副作用との絡みでどちらかというと後ろ向きなニュアンスを含んで発せられることがある程度に過ぎません。

それ以前に、巷に溢れるこの言葉通り、本当に体質は変わるものなのでしょうか?

江戸時代の名医・吉益東洞は、この問題にも言及しており、自身の提唱した「万病一毒説」との絡みで明確に「体質改善」を否定しています。

東洞流に言えば、「体質が改善された」と思っているのは、単に病気が治ったことを、「体質が変わった」と本人が思い込んだだけであり、病気の原因となっている病毒を逐い出せば、病気は治る訳であって、生まれつきのものである「体質」とは関係ないというのです。

「ずっと冷え症で冬は辛かったのですが、○○をして体質が変わったので、もう冬でも平気になりました」というのは、冷えの原因である水毒が去ったからですし

「△△療法で、長らく悩んでいたアトピー体質が改善されました」などというに至っては、単に疾病が治ったに過ぎません。

あえて「体質」というものを定義するならば、「体の状態に影響する遺伝的な背景」とでもなるでしょうか。

野口整体では、12種類に分類される「体癖」という考え方がありますが、これらは遺伝によるものであり、後天的に変わるようなものではなく、例え有り得たとしても健康食品や民間療法で変化するとは考えられません(後天的遺伝を認める千島学説やルイセンコ学派では見解が違うかもしれませんが、これらの学説に関しては別の機会に紹介したいと思います)。

医学統合研究会でも便宜的に「体質改善」という言葉を用いることはありますが、実際には遺伝的要素であり、そうそう改善されたり変化したりすることは無いと考えています。

もっとも、妊娠時に胎内環境を改善した場合、生体水和水が良質な水に置き換わることで、遺伝形質の発現に違いが出るのではないかと我々は考えており(DNAの鎖にも水分子はビッシリ水和しています)、妊娠中の生活が胎児のその後の体質に大きな影響を及ぼすと思っています。

今回は、余りにも「体質改善」という文字が氾濫しているので、ある療法やサプリメントに体質改善効果があるのかどうかという以前の前提として「体質が変わる」ということが、そもそも有り得るのかという観点から考察してみました。

○○療法で体質を改善するのと、「○○療法で体質改善!」の言葉に躍らせれる消費行動を改善するのと、どちらが難しいのか…甲乙つけ難いところでしょうか。

2007/04/26

トップへ