右脳教育批判

小さいときから子供の教育に熱心な親御さんが一方ならぬ関心を示すものの筆頭格と言えば、お受験と右脳教育・英才教育でしょう。

急成長を続ける某右脳教育の教室は日本全国に拡がっているようで、所々にイカツクドギツイ、ヤクザの会社でも入っていそうな建物が見られます。

創設者も業界では売れっ子の超有名人で、内容は似たり寄ったりながら膨大な数の著書を出しておられますが、その内容はまさに驚異のオンパレードで「赤ちゃんは算数の天才で、コンピュータ並みの計算力を持っており、大人でも難しい高度な四則計算の式を瞬時に解くことができる」とか、「人間は皆超能力者であり、子供のうちに右脳教育を施せば、誰もが天才になれる」という主旨の話がたくさん出てきます。

全国で数万人の子供たちが、この素晴らしい右脳教育を受けており、スプーン曲げや透視を行う超能力者として育っているというのですが、管理人の周囲を見渡す限り、そんなエスパー魔美のような児童はいませんし、高い学力を持つ子供で右脳教育出身という子も聞いたことがありません。

それどころか、医学統合研究会では、所謂「右脳教育」には大変な危惧を抱いてすらいます。

この手の理論を信奉している人たちは、左脳が言語や数を扱う脳であり、論理的な思考を行っていて、右脳は映像・音声的イメージや芸術的創造性に関連し、素晴らしい潜在能力を秘めている。

多くの人間は、右脳よりも左脳優位に働いており、天才と呼ばれる人たちは右脳を使っている点に特色がある。したがって右脳を使うトレーニングや教育を実践しなくてはならない…と言うのですが、この筋道は、なんとまぁ、論理的で、「左脳的」な発想でしょうか。

少し茶化した書き方をしてみましたが、管理人は右脳を優位に使うことの弊害について、警鐘を鳴らしたいと思っています。

能力開発のセミナーなどに参加していた経験上、管理人は某右脳教室の初期の卒業生を何人か見てきました。

私が直接見てきたのはあくまで少人数であり、右脳教育を受けた人を代表しているわけではないかもしれませんが、私見では非常に偏った能力を持った人間という印象を受けました。

たしかに、多湖先生の「頭の体操」のような問題を直感的に解いたりするような能力には秀でており、所謂「超能力」に属する力を持っている人もいましたが、物事を緻密に考える能力や、思考を言語化して明確に他者に伝えるような作業が非常に不得手な人物ばかりなのです。

また、そういう人が必ずしも高学歴であったり、客観的に見て幸福そうかというとそうでもないようです。

そのような人を何人も見るにつれて、「自分の子供がこのようになったら困る」という思いは強まるばかりでした。

正直言って、見るからに「異常」な人物が多すぎるのです。

「五つ神童、十で天才、二十歳過ぎればただの人」

という言葉がありますが、二十歳過ぎてただの人になれば良い方で、「変な人」になる可能性が高いと思うのは、一人管理人だけの偏見ではないと思います。

実際に、ある能力開発で高名な先生に、自分の意見をぶつけてみた所、「私もそう思います。私も右脳を開発する講座を開いてはいますが、子供に対する右脳教育の現場で行われていることの大部分には問題があるように思います」とこっそり同意を示してくださったことがあります。

右脳こそ創造の源泉とは言いますが、本当に創造的なのは、このように拝金主義を巧妙に隠した子育てに名を借りたビジネスを考案する人でしょう。

2007/05/18

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