ポリフェノールもホドホドに!

■〜赤ワイン信仰を斬る!〜

舶来品を闇雲に有り難がるのは日本人の特性のようで、これにもう一つの特徴である「付和雷同」が加わると、当然健康ブームの主役を輸入品が占める事になるのも無理なからぬ事かもしれません。

一頃のワインブームもその典型と言えるもので、「私の血はワインで出来てる」という某女優のキャッチフレーズは、ブーム後のワイン信仰の定着を如実に表したもののように思えます。

私の周りにも、芋焼酎した飲まないと豪語していた男が、健康の為にとアッという間にワイン教徒に改宗してしまった様は、日本の宗教の無国籍性が別の角度から垣間見れて面白いものでした。

さて、このワインブームは、フランスはボルドー大学の、セルジュ・レヌーなる学者が、フランスやスイス、ベルギーの人々は近隣諸国に比べて、動物性脂肪の摂取率が高いにも関わらず、心臓疾患が少ないことに注目し、その真因を彼らが摂取する赤ワインに求める説を発表したのが始まりで、この現象は「フレンチ・パラドックス」と呼ばれて有名になりました。

赤ワインに豊富に含まれるポリフェノールが、血管を保護し、動脈硬化や脳梗塞などの予防に貢献しているとされています。

ちなみに、ポリフェノールというのは単一の成分を指す言葉ではなく、同一分子内に複数の(ポリは沢山という意味です)フェノール性水酸基を持つ植物成分の総称であり、カテキン、タンニン、アントシアニン、などのフラボノイド、ゴマの成分であるリグナンやウコンに含まれるクルクミンなど、極めて多くの種類があります。

赤ワインで特に注目されるのは、その色素であるアントシアニン(ブルーベリーで有名ですよね)などですが、特に強い抗酸化作用を持つとされるのは、その前駆体であるプロアントシアニン(OPC)で、これは最初ピーナッツの皮から見つかったものなのですが、ファイトケミカルの多くが色素として固有の色を持っている中で、無色の物質であり、これがアントシアニンに変化することで強い赤色を発します。

ちなみに、赤ワインと白ワインは製法が違うだけで、原料は全く同じものであり、皮を用いるかどうかが赤白の分かれ目になるだけです。

基本的にポリフェノールは、植物が紫外線から身を守る為に作り出す物質ですので、当然表皮に最も多く含まれています。

ですから、ポリフェノールの摂取についてのみ云えば、白ワインより赤ワインの方が優れているということになります(10倍以上違うそうです)。

さて、ここまで書くと、さっそくワインを買出しに行こうとする慌て者もいるかもしれませんが、実はこのフレンチ・パラドックスにはカラクリがあるのです。

確かに、フランス人はその高いコレステロール摂取率の反面、心筋梗塞が少ないというのは事実で、確かにこれは赤ワイン効果なのかもしれません。

しかし、フランス人には特別ウイルス性肝炎が多い訳でもないのに、肝硬変をはじめとする肝疾患が非常に多く、これはどう考えてもアルコールの摂取によるものです。

私は心筋梗塞で死ぬのは嫌ですが、肝硬変で死ぬのも嫌です。

こういうアルコールの負の作用を無視して、赤ワインを飲んでもどれほど健康に寄与するか怪しいものでしょう。

当然、ワインブームにも利権が存在するはずであり、フランス人の肝疾患の問題は意図的に伏せられたと考えるのが妥当でしょうから、他の多くの健康ブームと同じく、いささか悪質なものを感じます。

また、ワインはそもそも日本人には異質なものですから、これまで日本酒を沢山飲んでいた人が、突然赤ワインを多量に飲むようになった場合、良くない影響が出ないのか心配です。

特に女性の場合、アルコールの摂取は乳ガンの発生を助長するという報告もあり、妊娠中の摂取は、当然胎児に悪影響が出るリスクを高めます。

また、このワインブームはフランスから輸入されたものではなく(みんな普通に飲んでいる訳ですから、ブームなど起こりようもありません)、フランスよりも心疾患による死亡率が高い他の欧米諸国から輸入されたものであることを特に注意してみなければなりません。

欧米諸国よりも日本の方が、有意に心疾患が少ないのであり、日本人が真似をして赤ワインをせっせと飲む理由は全く無いのです。

それよりも日本食中心の食生活を実践し、動物性脂肪の摂取量を減らす方が、どんなに良いか知れません。

あくまで嗜好品として愛飲するのに何の問題もありませんが、体に良いからというだけの理由で赤ワインを買い込むのはどう考えても賢明な消費活動ではありません。

■カテキンもホドホドに!

赤ワイン批判のついでに、同一の論法で一太刀を浴びせる事が出来る「緑茶」についても論じておきましょう。

お茶の作用については、日本に臨済宗を持ち帰った栄西禅師による『喫茶養生記』が有名で、お茶の効用が格調高く説かれています。

近年は、お茶を飲む人はガンになりにくいという疫学調査も発表されるようになり、お茶を健康の為に飲む人も増えているようで、「緑茶カテキン」を売り物にしたお茶も沢山出回っています。

赤ワインのように日本人に異質なものではないので、取り立てて批判する程の事でもないのですが、別の視点を提供するというのが本サイトの役割であると認識していますので、やはり論じない訳にはいきません。

ガンについては、お茶だけでなく、お茶を頻繁に飲む人の食生活も、そうでない人のそれとはかなり違っている可能性が高いので、結論を出すのは早計ですが、お茶を多く飲む人は、咽頭癌や胃癌、食道癌になるリスクが高まるという研究も発表されているのです。

どうやら、これは単に熱い液体が粘膜を刺激するのが原因らしく、イランでの研究では、70度を超える熱いお茶を飲むことは、65度以下に冷ましたお茶を飲むのに比べ、咽喉癌になるリスクが8倍に増えるそうです。

この場合は、単に冷ましてから飲めばOKという結論になりますが、お茶に含まれるタンニンが酸化して出来たタンニン酸が、胃粘膜に萎縮を起させることで胃癌のリスクを高めるとする研究者もおり、どちらにせよ、「何でもホドホドに」という月並みな結論に落ち着きそうです。

どうか、皆さんも悪意あるメディアの戦略にお気をつけ下さい。

2009/04/01

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