活性酸素・フリーラジカルのすべて 吉川敏一 他著

健康食品などの分野を扱う上で、避けて通れない活性酸素やフリーラジカルについて知るための格好の入門書です。

専門家である吉川敏一先生と河野雅弘先生の知見をジャーナリストである野原一子氏が、素人の視点から分かりやすく纏めたもので、難しい専門用語を極力排して初学者にも大変取っ付き易い本となっています。

活性酸素やフリーラジカルというと、とかく「癌の原因」だとか言われ、諸悪の根源のように語られていますが、実際にはミトコンドリアでエネルギーの通貨であるATP(アデノシン三リン酸)を作る際に無くてはならないものであり、また体内に侵入した病原体を排除する免疫系にとっても必須のものであって、下品な物売り連中が善悪二元論で扱っている“活性酸素”が如何に私達にとって大切な存在であるかも理解させてくれます。

勿論、活性酸素やフリーラジカルが殆どの病気の発現や進行に関わっており、その暴走を抑えるために体が持っている複雑な抗酸化機構や、食物から抗酸化物質を取り入れることの重要性についてもバランスよく触れられていて、色々な角度から活性酸素やフリーラジカルを学ぶのに適した教材といえるでしょう。

薄い本ながら、驚く程網羅性があって、散々不安を煽った挙句、結局最後は商品の宣伝で締めくくられる“活性酸素本”とは学術的な水準も記述の丁寧さも全く別次元に属します。

また、最後の章では巷の啓蒙書にはあまり触れられていない活性酸素やフリーラジカル測定法の概略が上手く纏めてあって、測定技術の進歩についても知ることが出来て嬉しい限りです。

一般には、電子スピン共鳴法でSOD(スーパーオキサイドジスムターゼ)の酵素活性を計測する方法が有名ですが、他にも様々な測定法が対象によって工夫されていることが分かります。

薄さの割りに1700円は高い気もしますが、その内容は決して期待を裏切らないものなので、文句なしにオススメ出来ます。

この本を熟読した後、巷に氾濫する類書(?)を一読すれば、たちまち著者とそのバックにいる悪徳業者の悪意が手に取るように分かる…はずです。

2007/06/06

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